猫とアートとスポーツカー

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作品紹介《鳥罠のある冬景色》(ピーテル・ブリューゲル(子))

前回の記事で触れた「松方コレクション展」にも出品されているこの作品。

 

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ピーテル・ブリューゲル(子)《鳥罠のある冬景色》

 

この作品を初めて見た人のうち、どれだけの人が「鳥罠」に気づくか、私は疑問です。

 

画面右手前にそれはあるのですが、どうしてブリューゲルはこれをタイトルにしたのでしょうか?

私は、この作品を「宗教画」と見ることで、その理由がわかる気がします。

鳥罠、氷、スケート。

どれも油断していると、はまったり、融けたり、転んだりする危険を伴っていますね。

 

そして、画面左手前に小さく描かれているボートはその周囲の氷がかなり融けかかっていることを示しており、その周辺でスケートに興じている人たちには危険が迫っています。それに彼らは気づいているかどうか・・・。

 

そして、スケートをしている人たちのほとんどが前を向いているところにも注目すべきでしょう。私たちの視点は彼らの進みのように、氷の道を奥へ奥へと導かれます。

 

そしてそのはるか先にうっすらとあるのが「教会」です。

 

鳥罠や氷に油断せず、自らをきちんと律した上で地道に進んでいくと、教会に辿り着く。

 

非常に強引な解釈をすれば、スケートは「キリストの導き」ともとらえられましょう。

「さまざまな誘惑に負けずに、また、はまらずに進むことによってのみ、キリストの教えに辿り着ける」と考え、この作品を宗教画と見るのは、私にはあながち曲解ではないと思うのですが・・・?

 

いかがでしょうか?