猫とアートとスポーツカー

猫とアートとスポーツカー(BRZ)中心のブログです。その他にも楽しいと思ったことはたくさん載せます!

「フェルメールを読み解く」面白さ

フェルメール展」って聞いただけでその展覧会に行きたくなるようなミーハーは、きっと私だけじゃないはず。

柔らかな光、優しい人物描写、大きすぎなくて見やすいサイズ。

全部、私好みです。

でも、フェルメールの絵って、そういう外面的なもの以外に結構深いメッセージを持っていたりするんですよー。

たとえば、この前大阪市立美術館に来ていたこの作品。

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フェルメール《恋文》

楽器を持っている女主人と訳知り気な笑みを浮かべるメイドの二人が主人公なんですけど、実はもう少し深読みができる作品なんです。

まず、手前の掃除道具が散らかっていますね。当時(17世紀)のオランダでは、部屋の掃除はメイドの仕事でした。ところが、この絵のメイドは明らかに自分の仕事をサボって主人のところでうつつを抜かしています。

これを描くことでフェルメールは「ちゃんと仕事しなくちゃいけませんよ!」って説教的なメッセージを送っているんです。

そして、この絵に込められたメッセージはそれだけではありません。

女主人が右手に持っているのは手紙です。この時代のオランダは識字率が高く、市民階級の間で、いわゆる「手紙ブーム」があったみたい。

そしてその手紙の内容まで分かってしまうのが、この絵のすごさです。

女主人が左手に持っている楽器はリュートと言って、彼女が恋愛中である目印になります。

そして、その相手は今どうしているのか?それも絵から分かるんです!壁にかけてある2枚の絵にご注目。

上の絵では、人物が遠くを一人で歩いていますね。つまり、彼女のお相手も一人で出かけているということになります。そして、下の絵では船が波に揺られています。これは、彼女の心が揺れていることの比喩です。

つまり、「この女主人は旅に出ている恋人のことを、恋文を見ながら想いこがれ、気持ちがとても揺れている」というわけ。

たった1枚の小さな絵から、ここまで読み取れるのがフェルメール作品の面白さ。

難しいけど、ほかの作品もこんな感じで読み解いてみると結構面白いですよー♪

カフェ・オレ飲みながら画集を見るのは至福のひととき

昨日の夜9時、朝早くからの仕事と用事が終わって、喫茶店でカフェ・オレを飲みながらのんびりと画集を見ていました。

今回のチョイスは、昨年に国立新美術館で開催された「ピエール・ボナール展」の図録。

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ナビ派の明るい色彩と和風な構図にとても癒されました。

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最近の図録って、以前より軽くなっていて持ち運びも苦になりません。

軽くて丈夫な紙を作る技術ってすごく難しいんです。日本のテクノロジーに感謝。

これでBRZが納車されたら、もっともっと持ち運びも楽しくなるんだろうなあ・・。

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作品紹介《鳥罠のある冬景色》(ピーテル・ブリューゲル(子))

前回の記事で触れた「松方コレクション展」にも出品されているこの作品。

 

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ピーテル・ブリューゲル(子)《鳥罠のある冬景色》

 

この作品を初めて見た人のうち、どれだけの人が「鳥罠」に気づくか、私は疑問です。

 

画面右手前にそれはあるのですが、どうしてブリューゲルはこれをタイトルにしたのでしょうか?

私は、この作品を「宗教画」と見ることで、その理由がわかる気がします。

鳥罠、氷、スケート。

どれも油断していると、はまったり、融けたり、転んだりする危険を伴っていますね。

 

そして、画面左手前に小さく描かれているボートはその周囲の氷がかなり融けかかっていることを示しており、その周辺でスケートに興じている人たちには危険が迫っています。それに彼らは気づいているかどうか・・・。

 

そして、スケートをしている人たちのほとんどが前を向いているところにも注目すべきでしょう。私たちの視点は彼らの進みのように、氷の道を奥へ奥へと導かれます。

 

そしてそのはるか先にうっすらとあるのが「教会」です。

 

鳥罠や氷に油断せず、自らをきちんと律した上で地道に進んでいくと、教会に辿り着く。

 

非常に強引な解釈をすれば、スケートは「キリストの導き」ともとらえられましょう。

「さまざまな誘惑に負けずに、また、はまらずに進むことによってのみ、キリストの教えに辿り着ける」と考え、この作品を宗教画と見るのは、私にはあながち曲解ではないと思うのですが・・・?

 

いかがでしょうか?

 

「哲学」のある展覧会が好き!

先日、国立西洋美術館の「松方コレクション展」を鑑賞してきました。

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ゴッホ《ばら》

これが松方コレクションの中で私が一番好きな「ばら」。

 

何度鑑賞しても飽きないです。

 

でもこの展覧会、ゴッホ以外にもルネサンスから印象派以降まで名作ぞろいなのに、なぜか帰り際の私の中では「不完全燃焼」だったんです。

 

なんとなく「万人受け」を狙った感じがしたんですよね。

 

誰からも合格点をもらえるような「幕の内弁当」的な展覧会っていう印象でした。

 

どこかに「媚び」を感じたんです。

 

私が最近で一番好きだったのは、昨年の「ピエール・ボナール展(国立新美術館)」!

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ピエール・ボナール《クロッケーの試合(黄昏)》

19世紀末にパリで活動した「ナビ派」の一人、「ピエール・ボナール」の作品展でした。

これ、主催側は結構「ギャンブル」だったと思います。

 

ナビ派って日本では知名度低いし、知っていても「あんまり好きじゃない」っていう人も結構多いし・・・。

でも、「ナビ派大好き!」っていう人たちは、決して少なくない一定数います。私もその一人。

 

そういう人たちを決して裏切らないとても魅力的な展覧会でした。

 

「確かにアンチもいるかもしれない。でも、分かってくれる人たちは必ずいる。そういう人たちを裏切らない展覧会をしよう!」という主催側の「哲学」が伝わってきました。

 

「哲学」をもつことは、どうしてもアンチを作ることになるのかもしれない。

それでも「万人受け」に逃げずに愚直なまでに「哲学」を貫く。

そんな姿勢を持った展覧会が私は好きです。

わが家のミルクのご紹介

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キャットタワーで横になるミルクです

わが家の子猫、ミルク。7/5で4歳になる女の子です。

 

生まれたばかりのところを、小田原のねこカフェでいただいてきました。

白い毛並みと、たまたまいただいてくる時の車にあったミルクティとで、「ミルク」と命名しました。

いつも元気いっぱい!

ちゅーる大好きです。

 

でも、飼い主のこちらが落ち込んだり機嫌が悪くなったりすると、ミルクも同じ感じになってしまって、いたたまれないやら申し訳ないやら・・・。

 

やっぱりお互い元気なのが一番だよね?

今日もミルクといい一日過ごせたらいいなあ。

展覧会紹介~「印象派への旅」~

この展覧会の目玉は、やっぱりコレ!

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エドガー・ドガ《リハーサル》1874年頃

私が初めてこの作品を見たとき、正直、拍子抜けしてしまったんです。

真ん中があいている構図なんてあまり見かけたことがなかったので。

でも、鑑賞しているうちに段々と作品に引き込まれるんですよ。

右奥にいる先生らしき人がいわゆる「フォーカル・ポイント」。

視線が一番集まるところですね。

逆に言えば彼を扇の要として、ほぼ放射状にバレリーナに向かって線が伸びているような構図です。

この、一点集中とも一点出発とも言える構図こそが何らかの落ち着きをわれわれに与えている気がします。

 

ちなみに、ドガは現代のわれわれには「印象派の画家」として知られていますが、彼自身はそう呼ばれるのを好んではいなかったようです。むしろ嫌がっていたみたいです。

 

ドガ作品って、モネ作品みたいな色彩豊かに光を表現しているものとはちょっと違いますからね。結構、アカデミックで理性的。構図重視なんです。

 

よく「印象派=浮世絵の影響」みたいに語られることがありますが、その影響の受け方も画家それぞれ。当たり前ですけど。

 

どんな風に誰の影響を受けたかって考えながら作品を見るのも面白いですね。